季節の変わり目に免疫力を高めるには? 食材、運動、睡眠など、オススメの生活スタイルを紹介

気温も下がり、あっという間に気候は冬まっしぐら。このような季節の変わり目には、その変化に体がなじめず体調を崩しがちです。新型コロナウイルス感染症の流行も続く中、冬に向けてインフルエンザやノロウイルスにも気を付けなければなりません。

小さなお子さんや高齢のご家族がいる家庭にとっては、今年は特に心配でしょう。

そこで今回は、感染症や体調不良と関係の深い「免疫力」についてご説明します。食事や生活習慣で免疫力を向上させ、感染症予防に努めましょう。

そもそも免疫力とは?季節の変わり目に要注意

季節の変わり目に体調を崩しやすくなるのは、免疫力の低下が大きく関わっています。そもそも、免疫力とは何なのでしょうか?

免疫の働き

免疫の働きには、ウイルスや細菌などの病原体を侵入させない「防御」の働きと、入ってしまったウイルスや細菌を排除する「攻撃」の働きがあります。

まずは、侵入を阻止する「防御」です。私たちはウイルスや細菌に囲まれて生活しており、それらは絶えず体内に侵入しようとしています。これらの侵入を防ぎ、身体を守っているのがまず皮ふ(バリア)であり、「粘膜免疫(=防御)」です。粘膜免疫は、主に、目、鼻、口、腸管などの粘膜で働きます。ウイルスや細菌が粘膜から体内に入るのを阻止し、感染を防ぎます。

次にウイルスや細菌を排除する「攻撃」です。ウイルスや細菌が、粘膜免疫を突破し体内に侵入すると、「全身免疫(=攻撃)」が働きます。全身免疫では、免疫細胞が病原体を捕まえ排除します。

季節の変わり目に免疫力が落ちやすい理由

なぜ、季節の変わり目には免疫力が落ちやすくなるのでしょうか?免疫が正常に機能するための鍵となるのは、「自律神経」の働きです。

自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は、主に身体の活動時間や昼間に活発に働きます。全身の活動力を高め、血圧や血糖を上げたり、血液を筋肉や脳に集めたりします。副交感神経は、主に安静時や夜間に働きます。身体を回復させ、内臓の機能を高めたり、免疫機能を整えたりします。交感神経と副交感神経がバランスよく働いていることが重要なのです。

冬が近づくと、交感神経が優位になり、血圧と体温を上げて、寒さに対応しようとします。一方、夏が近づくと、副交感神経が優位になり、血圧と体温を下げて、暑さに対応しようとします。季節の変わり目は、まさに、調節が行われる移行の時期であり、自律神経のバランスが乱れがちになるのです。その結果、免疫力の低下につながります。

免疫力を高める食事のポイント

免疫力を高める食事
免疫力を高めるために、まず重要なのが食事です。食材を選ぶ際に意識したい栄養素と、それに紐づく食材を紹介します。

良質なタンパク質

骨や筋肉はもちろんのこと、血液、皮膚、ホルモン、免疫細胞など身体を構成するあらゆるものがタンパク質から合成されています。肉、大豆製品、乳製品など、良質なタンパク質をしっかりと食べましょう。

ビタミンA(βカロテン)・ビタミンB2

ビタミンA(β‐カロテン)やビタミンB2は、粘膜を強くして、免疫の「防御」の機能を助けます。ビタミンAは、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜、春菊、オクラなどの緑黄色野菜に、ビタミンB2は、魚、レバー、卵、乳製品などに多く含まれます。

乳酸菌と食物繊維

栄養素を吸収する腸は、免疫の重要な担い手で、小腸と大腸を合わせると体内の約50%の免疫細胞が存在しています。乳酸菌などの善玉菌や、食物繊維は、腸の環境を整え免疫細胞を活性化させることが分かっています。乳酸菌は、納豆、みそ、しょうゆ、漬物、ヨーグルトなどの発酵食品に、食物繊維は、野菜を中心にきのこ、根菜類、海藻類などに多く含まれます。

フィトケミカル

フィトケミカルとは、野菜、豆類、海藻類に多く含まれる栄養素で、免疫細胞を活性化させます。リコピン、イソフラボン、ポリフェノールなどの成分もフィトケミカルに含まれます。ねぎ、キャベツ、バナナ、大豆、にんにく、海藻、キノコ類などに多く含まれます。

免疫力が下がる原因とは

免疫力が下がる原因とは
免疫力は、ストレスや身体の冷えなどで低下します。特に季節の変わり目には、できるだけストレスを溜めないように、そして体を冷やさないように注意しましょう。また、妊娠すると免疫力が低下しますので、普段以上に、体調には留意してください。

ストレス

強いストレスは自律神経のバランスを崩し、免疫力の低下につながります。また、慢性のストレスは腸内環境にも影響を及ぼします。勉強や仕事などにおける精神的ストレスが、免疫に影響を及ぼす他、女性は月経中のストレスでも免疫が低下します。

体の冷え

「万病のもと」といわれる冷えも、免疫力を低下させます。これは、冷えにより免疫力の重要な担い手である腸の動きが悪くなるうえ、血管や内臓の働きをコントロールする自律神経のバランスが崩れるためです。体温が1度下がると、免疫力が30%以上低下するともいわれています。

妊娠

免疫は、通常は自分の体を守るために活動しています。妊娠すると、赤ちゃんを異物として攻撃しないために、一時的に母体の免疫力が下がる仕組みになっています。妊娠している際には、普段なら症状が出ないような弱い病原体による感染症にも罹ってしまうことがあるため、特に注意が必要です。

免疫力を高める生活習慣

免疫力を高める生活習慣とは
食事以外でも、免疫力を高めるために有効な手だてがあります。それは、次のように生活習慣を整えることです。

運動習慣を取り入れる

適度な有酸素運動は、免疫細胞の活性化が期待できます。まずは、体操など軽い運動だけでも習慣化し、免疫力の維持に努めましょう。可能ならば、少し汗ばむ程度の運動を継続的に行うと、免疫機能の向上が期待できます。運動は免疫のみならず、生活習慣病の予防や、転倒防止、脳の活性化などの効果もあります。

よく笑う

私たちが笑うと、その興奮が脳に伝わり、ナチュラルキラー(NK)細胞という、ウイルスや細菌など、体に悪影響を及ぼす物質を退治する細胞が活性化します。また、笑いには免疫システム全体のバランスを整える機能があるとされています。大いに笑って、免疫機能の向上に努めましょう。

温める

体温が高いと、リンパ球が増えて活性化し、免疫機能が高まります。また、身体が温まると血管が拡張して副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。身体を温めるためには、根菜類、イモ類、しょうがなどを意識して食べましょう。また、シャワーだけで済ませず、ゆっくり入浴するとよいでしょう。特に、免疫にとって重要な腸がある腹部を温めると免疫力アップが期待できます。

ウイルスや菌の侵入を防ぐことも大事

感染症対策
ウイルスや細菌などの感染症を防ぐためには、食事や生活習慣で免疫力を向上させると共に、ウイルスや細菌の感染経路を断つことが重要です。

主な感染経路

ウイルスや細菌の感染経路は、主に「飛沫感染」、「空気感染」、「接触感染」、「媒介感染」の4つです。

飛沫感染は、咳・くしゃみ・会話などから排出される病原体を含む「飛沫」を吸い込むことで感染します。インフルエンザ・水ぼうそうなどが該当します。

空気感染は、感染者の飛沫が飛び散り、それが乾燥して微小な「飛沫核」となり空気中に拡散したものを吸い込むことで感染します。水ぼうそう・麻しん(はしか)などが該当します。

接触感染は、皮膚や粘膜の直接的な接触や、ドアノブ、手すり、便座、スイッチ、衣服、タオル、排泄物等を介しての接触で病原体を体内に取り込むことによって感染します。インフルエンザ、ロタウイルス・ノロウイルス感染症などが該当します。

昆虫媒介感染は、蚊やダニなどの虫が病原体を媒介することで感染します。蚊が媒介するデング熱・マラリアなどが該当します。

感染症の中には、複数の感染経路から感染する可能性があるものが存在するため、すべての感染経路に対して適切な予防・対策が重要です。

感染経路の種類とは? シーンに合わせた適切な予防が大切です

基本的な予防

ウイルスや細菌の感染経路を断つためには、マスクの着用・咳エチケット、手洗い・手指の消毒を徹底し、予防接種を受けるなど対策が必要です。

さらに、ドアノブや階段の手すり、照明のスイッチなど、家族みんなが触れる場所はこまめに除菌しましょう。除菌製品にはさまざまな種類がありますが、特に子供やペットがいる家庭では、「クロラス酸」という食品添加物殺菌料の主成分としても使用が認められている優しい成分をおすすめします。

小林寅喆(いんてつ)先生

この記事の監修者

東邦大学

小林寅喆(いんてつ)先生

東邦大学 看護学部 感染制御学 教授 / レック株式会社 バルサン事業本部 技術アドバイザー

レック株式会社

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