新型コロナウイルス
(SARS-CoV-2)に対する
効果確認試験報告 その(1)
亜塩素酸水製剤のSARS-CoV-2に対する不活化(除去)効果を、一般的に使用されている塩素系消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムと比較しましたので、その結果を以下にご報告させて頂きます。
試験条件
試験検体 |
亜塩素酸水製剤
含量(亜塩素酸 HClO2 = 68.46)として8000ppm(0.8%)[製造時] 遊離塩素濃度(Cl=35.45として)200mg/L 以上 次亜塩素酸ナトリウム液 有効塩素濃度 50,000ppm (5.0%) 遊離塩素濃度(Cl=35.45として)約50,000 mg/L |
---|---|
ウイルス株 | SARS-CoV-2(SARS-CoV-2 JPN/TY/WK-521株) [国立感染症研究所より分与] |
宿主細胞 | VeroE6/TMPRSS2 細胞(JCRB1819) |
ウイルス液 FBS 濃度 | 0% (※ポリエチレングリコール(PEG)沈殿処理によってウイルス液の濃縮処理を行った) |
ウイルス培養時の培地 | ダルベッコ改変イーグル培地(低グルコース) Dulbecco’s Modified Eagle Medium low glucose (DMEM) |
ウイルスカ価検出法 | TCID50法 |
ウイルス液:サンプル液反応液比率 | 1:9 |
初発ウイルス濃度 | 約 1.6×106 TCID50/mL |
試験方法
試験検体:ウイルスとの反応も1.5mLチューブ内で行った。
なお、ウイルス液の調製は以下のように行った。VeroE6/TMPRSS2細胞(25㎠フラスコ)にm.o.i. が0.001になるように1.5 mLのウイルス液(SARS-CoV-2JPN/TY/WK株)を細胞に1時間接種した後、2.5 mLのDMEM low glucose培地(2%FBS、1 mg/mL G-418含有)を入れて48時間培養した。その後、培養液を回収し、培養液10 mLあたり1 gのポリエチレングリコール 6,000と0.233 gの塩化ナトリウムの条件でポリエチレングリコール(PEG)沈殿処理を行った後、上澄み液(培地成分やFBS等)を除去し、沈殿物(ペレット)をリン酸緩衝液(PBS)で懸濁し、ウイルス濃縮液とした。
抗ウイルス試験の方法は以下のように行った。ウイルス濃縮液と試薬を60μL:540μL(1:9)の比率で混合し、室温で所定の時間反応させたのちに、0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム30μLを加え、中和した。その後、DMEM low glucose培地(2%FBS、1 mg/mL G-418含有)を用いて10-6まで10倍段階希釈をおこなった。VeroE6/ TMPRSS2細胞(96ウェルプレート)に各希釈のウイルス液を100 µl/wellで接種し、一時間後に吸引除去して100 µl/wellのDMEM low glucose培地(2%FBS、1 mg/mL G-418含有)に置換して培養した。また、2日後に各ウェルの感染の有無を判定して、Behrens-Karber法で50%感染希釈を計算し、ウイルス感染価 [50% Tissue culture infectious dose (TCID50)/ml]を求めた。

結果


亜塩素酸水製剤は遊離塩素濃度(Cl=35.45として)10㎎/L (DPD法)【推定値】 [含量 亜塩素酸(HClO2=68.46)として約400 ppm(ヨウ素還元滴定法)]の濃度で6.2 log TCID50/mLのSARS-CoV-2の感染価を検出下限以下(1.5 log TCIDHClO50/mL)まで低下(≧99.998%減少)させることができていた。
一方、次亜塩素酸ナトリウム溶液では同じ遊離塩素濃度(Cl=35.45として)10 ㎎/L (DPD法) 【推定値】[含量 亜塩素酸(HClO2=68.46)として約10 ppm(ヨウ素還元滴定法)]で10秒間処理しても6.5 log TCIDHClO50/mLのSARS-CoV-2の感染価を4.1 log TCIDHClO50/mLまでしか低下(99.874%減少)させることはできず、処理時間を3分間にまで延長したとしても2.5 log TCIDHClO50/mLまでしか、SARS-CoV-2の感染価を低下(99.990%減少)させることはできていなかった。
また、亜塩素酸水製剤の場合、遊離塩素濃度(Cl=35.45として)1 ㎎/L (DPD法) 【推定値】 [含量 亜塩素酸(HClO2=68.46)として約40 ppm(ヨウ素還元滴定法)]と前述の10分の1の濃度でも、30秒間処理することで3 log TCIDHClO50/mLのSARS-CoV-2の感染価を低下(99.900%減少)させることができていた。
以上の結果により、ウイルス液の夾雑物を限りなく除去した(取り除いた)有機物非存在条件下における、SARS-CoV-2に対する消毒薬としては、広く一般的に利用されている次亜塩素酸ナトリウムよりも明らかにこの亜塩素酸水製剤の方が、低濃度でかつ短時間でウイルス(SARS-CoV-2)を不活化(除去)することができる薬剤であるということがこの試験で明らかとなった。
以上の結果は、大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 山崎 伸二教授が実施された試験結果(未公表)に基づき三慶グループが作成したものを引用し、レック株式会社が作成したものである。
登録日: