獣医師に聞く。ペットの感染症対策と本当に正しい知識

2021年現在、新型コロナウイルスの拡大感染から1年が経過しました。
今やマスクの着用は当たり前となり、アルコールや次亜塩素酸による消毒も習慣化されています。人々の感染症対策への意識が向上する中、イヌやネコなど、ペットの感染症対策に不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
私たちが普段使用する消毒剤の中には、動物にとって取り扱いに注意を要するものがあります。中には誤った使用法をされている方もいるでしょう。
今回は獣医師の佐藤先生に、新型コロナウイルスを切り口に正しいペットの感染症対策や注意点をお聞きしました。
CONTENTS
動物は新型コロナウイルスに感染する? 事例と症状
新型コロナウイルスの動物への感染事例は、各種メディアにて報じられていますが、具体的にどのような影響があるのでしょうか。
ヒトから動物へ。ペットの新型コロナウイルス
――新型コロナウイルスは、動物にどのような影響を及ぼしているのか、事例を含め教えてください。
動物の新型コロナウイルス感染は、主に発症したヒトからペットへの飛沫感染や接触感染が感染経路となっています。ただし、現時点ではヒトから動物への感染事例はごくわずかです。
――動物からヒトへの感染も考えられるのでしょうか
ネコ同士、フェレット同士、ゴールデンハムスター同士、ミンク同士、この子たちは実験レベルで互いにコロナに感染することがわかっています。動物間感染は可能性が大きいですが、イヌからイヌという報告はまだありません。
動物が感染した際の症状
――動物が感染した場合、どのような症状が見られるのでしょうか
ただヒトの場合は脳への障害や後遺症のケースも報告されていますが、動物はまだまだ件数が少ないので、わかっていないことのほうが多い現状にあります。具体的な症状としてハッキリ分かっているのはネコだけです。
――同じ哺乳類という枠組みの中でも、イヌやネコ、ヒトでは症状が異なるのですね。
今回の新型コロナウイルスの場合、動物は軽傷で済んでいるケースがほとんど。現段階で、亡くなってしまった事例は報告されていません。
――ウイルスの種類によっても症状はさまざまですよね
コロナウイルスの種類は、ヒトと動物を合わせて20型程度。今後、新型コロナウイルスが変異しどのように分類されるか、種類によって致死率も変わる可能性があるため、注意が必要です。
・ヒト→動物への感染事例はあるが、動物→ヒトへの感染は報告されていない
・ペットの感染経路は、ヒトからの飛沫感染や接触感染
・動物によって、新型コロナウイルスの症状はさまざま
本当に正しい、大切なペットを守る感染症対策
アルコールや次亜塩素酸など、今ではほぼ毎日使用すると言っても過言ではない消毒剤。一方でヒトが使用する場合、アルコールは肌荒れが懸念され、次亜塩素酸は「水orナトリウム」でその使用方法が異なり、取り扱い時の注意もいくつかあります。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム、混同してはいませんか? その効果の違いや注意点を解説
我々ヒトが使用する際にも注意を要する消毒剤ですが、イヌやネコなどの動物には使用してもいいのでしょうか?
一歩間違えると大切なペットを失う危険性もあるのです。
「必読」消毒剤は動物に使用してもいいのか?
――現在、感染症対策としてアルコールや次亜塩素酸、さまざまな消毒剤が販売されていますが、特にペットへの取り扱いで注意することはなんでしょう。
家でこぼしたものを誤ってなめてしまったり、体についたものをなめてしまい中毒を起こす危険性が考えられます。アルコール消毒は、イヌやネコには決して直接使用してはいけません。
次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系も、皮膚が荒れ粘膜に炎症を起こす危険性があります。炎症を起こした粘膜は、ウイルスや菌が侵入しやすくなるため、塩素系の除菌剤を直接使用してはいけません。
――万が一アルコールを摂取してしまった場合、どのような症状が見られるのでしょうか。
誤って摂取した場合、症状がでるまで1時間程度。症状に気付き、すぐに来てくれた子に対しては、吐かせたり胃の洗浄を行い助かったケースはあります。
――我々が接触感染を予防するために消毒した箇所を、誤ってイヌやネコがなめただけでも「危険を及ぼす」と言えるのでしょうか。
――飼い主さんの中には、正しい知識を持っていない方もいらっしゃると思います。病院に来られた方の中で、何か大きな間違いや誤解した対策方法をしている方はいましたか?
塩素系では、毛にフケみたいなものが出てしまっていたケースも。口にはしなくても、毛や皮膚に使用してしまっている人は結構いるかもしれません。
――飼い主への正しい知識の浸透は、進んでいると思いますか?
中毒の可能性や、皮膚・粘膜への影響がある点をしっかりと認識してもらいたいです。
・アルコールや塩素系除菌剤は、動物に使用してはいけない
・誤ってアルコールを摂取した場合、急性アルコール中毒により、最悪の場合死に至るケースも
大切なペットを感染させない、具体的な感染症対策
――病院ではどのような対策をされているのでしょうか。
――先生自身、身の周りの環境の除菌はどのようにされていますか?
ヒトやペットが踏み入れる待合室、ソファにも使っています。ペットが万が一なめてしまうリスクを考えると、食品添加物としても使用される亜塩素酸水(クロラス酸)は安心して使用できるかと思います。
感染症対策の新手段「クロラス酸(亜塩素酸)」とは。次亜塩素酸との違いは?
クロラス酸による新型コロナウイルスの不活化が確認できました
――佐藤先生が推奨している、ペットへの予防策を教えてください。
【ワンちゃんの場合】
具体的な対策として、ワンちゃんには服を着させてください。飼い主さんからの感染リスクとして、ウイルスがワンちゃんの毛につく可能性が懸念されています。そのためウイルスが毛につくような可能性はできるだけ意識し予防していただきたいです。
散歩後は、家に入る前に洋服を脱いで洗濯カゴへ、手足はできればペット用のシャンプーを使って洗い流してください。ヒトの手洗いと同じで、洗い流すだけでも大分ウイルスは少なくなります。基本的な感染症対策として、手足の洗浄は欠かせないでしょう。
【ネコちゃんの場合】
外に出るネコちゃんで洋服がない場合、家の中に入る前にブラッシングをしてあげるだけでも対策効果はあるでしょう。
・アルコールや次亜塩素酸ナトリウムはヒトの肌も炎症を起こす危険性がある
・イヌ、ネコの感染対策は、外出時のウイルス付着を防ぐ服の着用や、手足の洗浄
まず、飼い主が気を付けるべき日常的な予防策と今後について
ペットへの感染症対策は、我々ヒトとは違った注意点がありました。
感染拡大が続く新型コロナウイルスですが、大切なペットを守るために、常日頃から飼い主が意識すべきポイントや、ペットへの向き合い方についてお話をお聞きしました。
大切なのは飼い主の意識と、ペットとのソーシャルディスタンス
――日常的な予防について、私たち自身が気を付けるべきことはなんでしょうか。
飼い主さんの「平気だろう」と思う気持ちが、コロナ感染の原因になってしまうので、まずはペットとの濃厚的な接触を避けるべきです。口移しでごはんやおやつをあげる行為は、今でこそ絶対にしてはいけませんし、一緒にベッドで寝ることも、なるべく避けたほうが良いでしょう。
難しいですが、ペットとのソーシャルディスタンスも意識していただきたいです。
もし、自身が感染してしまったら…?
――飼い主さんがコロナウイルスに感染してしまった場合の対処を教えてください。
また衣食住の「住」は知人の方がいても、衣食については飼い主さん側が整えておく必要があります。新しい洋服を用意したり、ペットフードや薬も1ヵ月分くらい余裕をもっておく。ペットのクセや性格、病気に関する情報をまとめておくと良いでしょう。
マイクロチップや迷子札を付けておくことも重要です。飼い主さんが変わると、問題行動や突然怖がって逃げたりするケースもあります。保健所に連れて行かれてしまう危険性があるので、万が一発見されたときに飼い主さんがわかるよう、保険の意味で付けておくと安心です。
――東京都獣医師会では、今後コロナウイルスの動向やペットを飼われている方に向け、対策や活動はされているのでしょうか。
私自身WHOの情報を良く見ますが、情報が1ヵ月前とはがらりと変わっている。動物への感染事例や新しいエビデンスの発信もあるので、飼い主さんもこまめにチェックしてみてはいかがでしょうか。
まずは飼い主さんが感染しないことが、ペットを守るために大事な対策であり予防策です。ペットに対する正しい知識を常に収集し続けていただきたいです。
――ありがとうございました。
・ペットとの濃厚接触を控え、ソーシャルディスタンスを意識する
・飼い主自身が感染してしまった場合を考え、預け先や備蓄の用意をしておく
・まずは自身が感染しないよう対策を徹底し、正しい情報収集を心がける
感染予防にもバルサン
大切なペットを感染症から守るには、消毒剤の使用方法や飼い主の意識向上、正しい知識の収集が欠かせません。
バルサンは、感染症を予防するための研究を重ね、さまざまな商品を開発してきました。ウイルス除去・除菌には、クロラス酸配合の「バルサンプラス クロラスバリアシリーズ」がおすすめです。クロラス酸は、熱や乾燥、薬品に抵抗性のある芽胞菌にまで幅広く効果を発揮し、最近では新型コロナウイルスに対しての不活化効果も確認できました(詳細はこちら:https://varsan.jp/special-contents/chlorus-acid-first-report/)。
また、食品添加物のみで構成されているため、手肌に優しい弱酸性で小さいお子さんやペットのいるご家庭でも安心安全に使用できます。
※ペットへの直接の使用は避けてください
まずは飼い主さん自身の感染症対策を徹底すること、そして生活シーンにより適切な商品を選択し、快適で健康な暮らしをおくりましょう!

関連記事