【研究ニュース】一般家庭における敷布団内部のダニ類の実態を調査:ダニ類は調査したすべての布団から検出され、布団1枚あたりの推定ダニ数は最大394,240個体! 布団表面だけでなく内部にも多くのダニが存在!!

レック株式会社 バルサン開発部・殺虫剤研究グループでは、殺虫剤関連の製品開発を進めており、様々な防除方法を確立するために長年害虫の生態や行動特性等に関する研究に取り組んできました。この度、一般家庭における敷布団内部のダニ類の実態を調査し、以下の点を明らかにしました。なお、本研究内容は、衛生動物学会誌(2022年,No.3)に掲載しております。

<研究背景>
害虫防除方法及びその対応製品を開発するためには、様々な害虫の生態や行動特性を把握することは不可欠である。ダニ類の生息場所としては寝具の重要性が高いことが知られているが、これまでの調査は、電気掃除機を用いてダニを採集する寝具の表面だけの調査がほとんどで、寝具内部における分布は詳しく調査されていない。そこで、今回ダニ類の生息場所として敷布団を取り上げ、布団を日本全国(1都 10府県)から布団サンプルを収集し、布団の一部を切り出し、内部も含めたダニ類の分布について調査した。

<研究成果>
11カ所から収集した20の布団サンプルを用いて、各布団サンプルの5カ所から一部(5 cm×5 cm)を切り取り上層(側生地を含む表面から5mm)、中層、下層(側生地を含む下面から5mm)の3層に分けて洗い出し法によって全数調査を行った。得られた結果に基づいて,ダニ相,脱皮殻数とダニ虫体数の関係、布団でのダニの分布、およびそれらのサンプル採集地間における違いについてまとめ、下記の点を明らかにした。

・今回の調査で10科12,734個体のダニ類の虫体が採集され、チリダニ科が全体の97.0%を占めていた。
・チリダニ科の主要なダニはヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種で、2種の構成比は同じ地域か
ら回収した布団でも、布団によって全く異なった。
・布団1枚を2m2として、布団1枚あたりのダニ数を算出したところ、ダニ虫体の推定個体数は、4,640~394,240個体(平均101,848個体)であり、脱皮殻も含めた推定値の平均は、144,176個体(77,088個体/m2)とかなり高密度であり、何等かのダニ対策が必要であると考えられた。
・布団サンプルの立体構造を示す3層での分布について、布団上端と下端では中層に多く分布しており、
布団中央部では下層に多く分布する傾向が認められた。
・表層(上層と下層)に分布するチリダニ科のダニの割合は15.6%~94.3%とサンプル間で大きく異なっていた。

<今後の展望>
敷布団内部におけるダニ類の分布について調査し、ダニ類が布団の表層だけでなく中層にも分布していることが示された本研究の結果は、ダニ類の有効な対策を考える上で重要な知見であり、布団中層にいるダニ類までしっかりと対処できないとダニ類の被害に苦しんでいる人たちの根本的解決にならないことを示している。
この知見はバルサン※ブランドでのダニ対策新製品をはじめ、レック㈱の様々な防除製品開発等に活用していく予定です。
※バルサンは発売70年周年

原著論文
本研究成果は、日本衛生動物学会誌の2022,Vol.73 No.3に掲載されました。
・タイトル: 屋内生息性ダニ類の敷布団における種類相と布団内部の分布調査
・著者: 亀崎宏樹、庄子佳文子、上村慎一郎、津田良夫
・所属: レック株式会社

・受領: 2022 年4月22日
・登載決定: 2022 年7月12日

日本衛生動物HP
日本衛生動物学会 – Japan Society of Medical Entomology and Zoology (joeswebhosting.net)

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