【研究ニュース】ノミバエ類の産卵選好性に関する新知見:ゴキブリの種類に関係なくノミバエ類の発生源となるリスクがあることを示唆

レック株式会社 研究開発部・殺虫剤研究グループでは、殺虫剤関連の製品開発を進めており、様々な防除方法を確立するために長年害虫の行動特性等に関する研究に取り組んできました。この度、代表的な人家性の不快害虫であるクサビノミバエの産卵選好性ついて研究し、以下の点を明らかにしました。なお、本研究内容は、衛生動物学会誌(2021年,No.3)に掲載しております。

<研究背景>
害虫防除方法及びその対応製品を開発するためには、様々な害虫の行動特性を把握することは不可欠である。ノミバエ類は家屋内に生ごみなどに発生するため、代表的な人家性の不快害虫として知られている。今回ノミバエ類について、その発生源としてゴキブリ死体に着目し、その産卵選好性について調査した。

<研究成果>
ゴキブリの死体の種及び雌雄ごとの産卵数を調査し、下記の点を明らかにした。
① クサビノミバエが好適な死体に選択的に産卵する習性(産卵選好性)があること
② クサビノミバエの産卵選好性として、下記の傾向があること
・卵が数個の死体に集中的に産卵される傾向があること
・ゴキブリの雌の死体に多く産卵される傾向があること
・ゴキブリの種の違いは有意ではないこと

<今後の展望>
クサビノミバエが特定のゴキブリ種の死体を選択的に利用するのではないという本研究の結果は、本種の生息場所である人家周辺において不快害虫として考えるとき、どの種のゴキブリコロニーでもクサビノミバエの発生リスクがあること、また人家の内外で死亡したゴキブリが、種類に関係なくクサビノミバエの発生源となって異物混入などの被害が発生するリスクがあることも示している。
この知見は今後、バルサン※ブランドでの製品展開やレック株式会社の様々な防除製品開発等に活用していく予定です。
※バルサンは発売70年周年

原著論文
本研究成果は、日本衛生動物学会誌の2021,Vol.72 No.3に掲載されました。
・タイトル: 6種のゴキブリ死体に対するクサビノミバエの産卵選好性
・著者: 津田良夫、亀崎宏樹
・所属: レック株式会社ウエルネス研究開発部

・受領: 2021 年2月8日
・登載決定: 2021 年5月12日

日本衛生動物HP
日本衛生動物学会 – Japan Society of Medical Entomology and Zoology (joeswebhosting.net)

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