ノロウイルス感染症の症状と対策。子供はかかりやすい?

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の流行が続いていますが、冬はインフルエンザやノロウイルス感染症なども流行する時期です。特に、小さな子供がいる家族は不安をお持ちではないでしょうか。

「ノロウイルス感染症にアルコール消毒は効果が少ない」
もしかすると誤った対策をしている方もいらっしゃるかもしれません。正しい知識を理解し、大切な家族を感染症から守りましょう!

今回は、ノロウイルス感染症の特徴や症状、正しい予防と対策を解説します!

ノロウイルス感染症とは? 特徴や症状を紹介

ノロウイルス感染症の特徴と症状
まずは、ノロウイルス感染症の流行時期や症状、ウイルスの特徴など基礎的な事実を確認しましょう。また、よく似た症状の出るロタウイルス感染症との違いも説明します。

流行時期と症状

ノロウイルス感染症は、年間を通して発生しますが、特に冬に多発します。11月頃から流行が始まり、12〜2月にピークを迎えます。

潜伏期間は12~48時間程度です。代表的な症状は腹痛、吐き気、下痢、嘔吐です。その他に、37~38℃程度の軽い発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛などが見られることもありますが、症状は全般的に軽めで、通常は2~3日でよくなります。しかし、小さな子供や高齢者は、下痢や嘔吐による脱水や窒息、誤嚥性肺炎などで死に至ることもあるため、特に注意が必要です。

現在のところ、ノロウイルスに効く抗ウイルス薬やワクチンは開発されていません。治療は原則、症状を緩和するための対症療法であり、脱水症状を防ぐために水分や塩分補給を行い、安静を保ちます。

アルコール消毒は効果がない? ウイルス構造の特徴

ウイルスは、構造上の特徴から「エンベロープウイルス」「ノンエンベロープウイルス」の2つのタイプに分けられますが、ノロウイルスは、ノンエンベロープウイルスに分類されます。一般的に、ノンエンベロープウイルスは、消毒剤に対する抵抗性が強く、アルコールでは効果が少ないため、塩素系の消毒剤を使用する必要があります。

ウイルスの種類やその特徴は? 有効な成分とは?

ロタウイルス感染症との違いは?

ノロイルスとロタウイルスはどちらも「感染性胃腸炎」であり、吐き気、下痢、嘔吐など、似たような症状が起こります。ノロウイルスが軽度の発熱で済むことが多い一方で、ロタウイルスでは39℃を超える高熱が出る場合もあるようです。ノロウイルスが冬に流行するのに対して、ロタウイルスは春に流行のピークを迎えます。

また、ノロウイルスは、遺伝型の種類が多いため、一度感染しても別の型のウイルスに感染することもあり、小さな子供から高齢者まで幅広い年齢層で感染が広がります。一方でロタウイルスは、主に小さな子供の間で流行し、特に生後6カ月から2歳にかけて多く感染します。一度感染すると、二度目以降は症状が軽くなる傾向があるため、大人は感染しても重症化することは稀でしょう。

ノロウイルスに有効なワクチンがありませんが、ロタウイルスに対してはワクチンがあり、任意の予防接種として乳児期に接種できます

ノロウイルス感染症の感染経路は4つ

ノロウイルスの感染経路
ノロウイルス感染症の感染経路は4つ。
感染者の便や嘔吐物が原因となるものと、汚染された食品を介するものに分けられます。

飛沫感染

感染者の便や嘔吐物を処理する際などに、ノロウイルスの含まれた飛沫を吸い込むことで感染します。

空気感染

感染者の便や嘔吐物が乾燥すると、細かい粒子となって空気中を漂います。これを吸い込むことで感染します。

接触感染

感染者の便や嘔吐物に触った手指を介して、ノロウイルスが口から入ることで感染します。便や嘔吐物だけでなく、感染者が触れたものに間接的に触れることでも感染します。

経口(糞口)感染

ノロウイルスに汚染された食品を食べて感染します。カキなどの二枚貝、生野菜など非加熱の食品に注意が必要です。また、調理者や配膳者が感染していて、感染者の手指が触れた食材を食べることでも感染します。

感染経路の種類とは? シーンに合わせた適切な予防が大切です

子供はノロウイルスに感染しやすい?

子供はノロウイルスに感染しやすいのか
ここでは、ノロウイルス感染症について、子供に見られる特徴を紹介します。

特に注意したい症状

子供は免疫力が弱いため、重症化する恐れがあります。また、上手に自分の症状を説明できないため、症状を注意して観察するようにしてください。

特に子供が注意したいのは、水分不足や塩分不足です。
子供は体内の水分量が多く、水分量を調節する機能が未熟です。下痢や嘔吐が続くと、脱水症状を起こしてしまいます。泣いても涙が出ない、口の中がベタついている、おしっこの量や回数が少ないという脱水症状のサインが見られたら、意識して水分補給をさせましょう。

便や嘔吐物によって、塩分も一緒に体外に排出されてしまいます。そのため、下痢や嘔吐がある間は、水分だけでなく塩分不足にも注意が必要です。塩分が不足すると低ナトリウム血症を発症しやすくなり、頭痛や吐き気、さらに重症化するとけいれんを起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

他にも、子供は、嘔吐物を喉に詰まらせ窒息を起こすことがあるので、注意しましょう。

子供特有の感染経路

大人では該当しないような、子供特有の感染経路もあります。

学校や保育園・幼稚園での集団生活での感染がその1つです。長い時間を集団で過ごし、食事や遊び、昼寝などを通して、子供同士が濃厚に接触することも多くなります。子供は感染症に対する予防意識が低く、ウイルスが付着した手を介して、感染が広がってしまいます。

また、小さな子供は、何でも口に入れたり、なめたりするため、ウイルスが体内に入るリスクが高くなります。床をハイハイしたり、床の上で遊んだりする際に、ウイルスが床に付着していると手指に付き、その手指が口に入ることで感染してしまいます。

家族がノロウイルスに感染してしまったら

ノロウイルスに感染した場合
家族がノロウイルスに感染した場合、感染者への対処方法と、二次感染を防ぐための注意事項をご案内します。

脱水症状を防ぐ、十分な水分補給を

現在のところ、ノロウイルスには有効な抗ウイルス薬やワクチンはありません。小さな子供や高齢者が感染すると、脱水症状になりやすいので特に注意しましょう。適切に、水分と塩分を補給してください。脱水症状がひどい場合には、病院で点滴を行うなどの治療が必要となります。

二次感染を防ぐ、汚物の処理に注意

ノロウイルス感染者の便や嘔吐物には、ノロウイルスが大量に含まれています。特に感染者が使用したトイレ周りは、ウイルスが付いている可能性が高いので、入念な消毒が必要です。また、吐物などに対しては、吐物の消毒を十分に行い、ウイルスを不活化(死滅)させて処理を行うようにしましょう。感染の拡大を防ぐためには、適切に処理を行う必要があります。使い捨ての手袋やマスクを着用し、処理をする人以外は、便や嘔吐物に近づかないようにしましょう。

また、ウイルス除去にはアルコールではなく、ノンエンベロープウイルスにも効果を発揮する塩素系の消毒剤を使用しましょう。処理する際には十分に換気をし、処理後には手洗いうがいをしっかりと行いましょう。

ノロウイルス感染症の予防と対策

ノロウイルス感染症の対策
最後に、ノロウイルスに感染しないための予防と対策を紹介します。

感染症対策の基本!「手洗い」を欠かさずに

感染症対策の基本は、流水と石けんによる手洗いです。帰宅時や調理時、食事の前、トイレに行った後など、こまめな手洗いを心がけましょう。感染者を看病したり、便や嘔吐物を処理したりした後は、特に念入りに行いましょう。

食品の十分な加熱調理

ウイルスは熱に弱いため、加熱調理は有効な手段の一つです。ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝や野菜などの食材は、生食を避け、食品の中心部を85~90℃で90秒以上加熱してから食べるように心がけましょう。

調理器具の消毒

まな板、包丁、食器、ふきん、タオル等の調理器具は、十分に洗浄した後、加熱や消毒剤でウイルス除去・除菌をしてください。

除菌剤でこまめにウイルス除去

除菌剤で、こまめにウイルス除去・除菌をすることを習慣づけましょう。ノンエンベロープウイルスにはアルコールでは効果が薄いため、塩素系の除菌剤がおすすめです。

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小林寅喆(いんてつ)先生

この記事の監修者

東邦大学

小林寅喆(いんてつ)先生

東邦大学 看護学部 感染制御学 教授 / レック株式会社 バルサン事業本部 技術アドバイザー

レック株式会社

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