蚊は冬の間どうしてる? あまり知られていない蚊の越冬と対策を紹介!

夏場に活動の最盛期を迎える蚊ですが、冬の間はどうしているのでしょうか?
実は、蚊の中には冬の時期でも活動し続ける種類がいます

デング熱など、蚊が媒介する感染症についても、冬の発生が気になります。蚊に刺されやすい赤ちゃんや小さな子供のいる家庭では、特に心配ですよね。

今回は、蚊の生態、冬の蚊の活動と対策などについてご説明します。

蚊の生態と冬の活動

ここではまず、蚊の基本的な生態についてご紹介します。

蚊は幼虫の発育に適した水を選び、水面や水に接した壁面に産卵します。1回に産む卵の数は、少ない種類では数十卵、多い種類では数百卵です。卵は2日で孵化し、俗にボウフラと呼ばれる幼虫になり、1週間ほどで蛹(オニボウフラ)になります。さらに2日経過すると、成虫が羽化します。

羽化した成虫のエネルギー源は糖分で、花の蜜などを吸っています。メスは卵を作るために特別な栄養分を必要としますが、この栄養源として利用しているのが、人間など動物の血液です。蚊の成虫の寿命は、種類や時期にもよりますが、平均1ヶ月、最長で2~3ヶ月とされています。

蚊は体温を調節できない変温動物のため、幼虫の発育も成虫の飛翔や吸血活動も気温に大きく影響されます。気温が10℃よりも低いときには活動はできません。逆に40℃を超えるような高温条件では死んでしまいます。そのため四季がはっきりした温帯地方では、蚊の活動に適した15℃~30℃の気温条件が満たされる春~夏に蚊の発生が多くなります。

蚊の種類によっては、冬も活動している

種類によっては冬も活動する蚊
寒さが厳しくなる冬を蚊はどのように過ごしているのでしょうか?
そもそも、蚊は越冬することができるのでしょうか?
冬の時期は、どこで何をしているのでしょうか?

日本で身近に見られるヒトスジシマカ・アカイエカ・チカイエカの3種類について、それぞれの冬の活動について紹介します。

「ヒトスジシマカ」越冬は卵の状態

ヒトスジシマカは、俗にヤブカと呼ばれる蚊の仲間で、背中の中央に1本の白い縦筋があるのが特徴です。公園や緑地、墓地などで昼に刺しに来る蚊で、デング熱やチクングニヤ熱などの感染症を媒介することも知られています。

2014年には東京都内、代々木公園の周辺でヒトスジシマカによるデング熱の感染が報告され話題になりました。

気温が10℃よりも低い条件では幼虫も成虫も生き残ることができないため、卵で冬を越します。越冬のための卵(越冬卵)は夏に産まれる卵とは異なり、冬の寒さを経験しないと幼虫がふ化しません。越冬卵は、関東地方の場合、日長が13時間よりも短くなる9月中旬ごろから産まれます

蚊が媒介する感染症とは?正しい知識と予防策を紹介

「アカイエカ」の越冬は活動を停止した成虫の状態

アカイエカは、日本全国に幅広く分布し、吸血のために屋内に入り込んで来る茶褐色の蚊です。夜行性で、就寝中にブーンと聞こえてくる煩わしい羽音の正体は、このアカイエカであることが多いです。

アカイエカの成虫は産卵・吸血ができる春~秋には、約1ヶ月で寿命を迎えます。しかし、晩秋に羽化したメスは、冬越しに適した生理状態になり、産卵や吸血などの活動を停止した休眠状態で4ヶ月ほど生きて冬を越します。越冬世代の成虫は温度変化の小さい暗い場所を好み、洞窟や下水溝、家屋の床下、物置小屋の隅などに潜んで越冬します。

なお、越冬するのはメスのみで、オスは交尾を済ませると冬が来る前に死んでしまいます。

「チカイエカ」は冬でも活動を続けている

チカイエカは、その名の通り、都市部の地下にできた水溜まりに発生する蚊として有名です。ビルの地下浄水槽などで発生して問題になることが多いですが、公園や道路わきの雨水マス、排水溝など地表にある水溜まりにも発生します。

チカイエカは屋内の生活に適応した蚊で、アカイエカとは異なり冬でも休眠せずに、気温20℃前後の条件が満たされた建物の内部であれば1年中繁殖し、吸血・産卵を行います

冬に蚊に刺されたという経験がある方は、チカイエカの可能性が極めて高いでしょう。

冬にも注意したい、蚊の人への影響

ここでは、蚊が人の健康に与える影響を考えます。

現在、国内で感染が報告されている、蚊が媒介する人の感染症は、日本脳炎だけです。日本脳炎は本来ブタの病気で、コガタアカイエカが媒介しますが、日本ではワクチンの予防接種により人への伝搬が阻止されています。コガタアカイエカもアカイエカと同様に成虫が休眠状態で冬越し、冬にはまったく活動しません。

日本が冬であっても、海外の気候が温暖な地域では蚊によって媒介される病気が流行しています。そのため、ビジネスや旅行などで海外に出かけ、現地で病気に感染して帰国後に発症する患者(輸入患者)は冬でも報告されています。しかし、わが国のほとんどの蚊は、冬には活動を停止しているため、冬に輸入患者が元になって病気が流行することはあり得ません

ただし、蚊の種類にかかわらず、刺された際は単に赤く腫れるだけでなく、刺された部位をかきむしって水ぶくれになってなかなか治らないこともあります。そのため、冬も活動を続けるチカイエカには注意が必要です。

冬だからといって油断せず、気温が暖かくなる来季に向けた対策もしっかり講じておきましょう。

冬にできる蚊の対策とは

冬の蚊対策
冬に限りませんが、蚊の対策のターゲットには2つ場面を考えることができます。1つ目が蚊の発生場所をターゲットにした予防的な対策で、2つ目は蚊の屋内への侵入をターゲットにした対策です。

まずは蚊を「発生させない」環境整備が大切

蚊は水のあるところに卵を産み付けます。従って、水たまりをなくせば蚊の発生を抑えられます

私たちの身近にある蚊の発生源、水のたまったバケツ、空き缶・空き瓶、古タイヤなどから、水を取り除くようにしましょう。夏場なら毎週1回の頻度で水を取り除くと効果的です。池や水鉢には、メダカや金魚を放すとボウフラを食べてくれます。排水溝など水を取り除くのが難しい場所には、ボウフラ用の殺虫剤を投入する方法もあります。年末の大掃除の時に、蚊の発生源になるような不要な容器を廃棄することも大切です。

発生した蚊の屋内侵入を防ぐ

蚊の屋内侵入を防ぐためには、ドアの開け閉めを極力少なくしたり、網戸を利用しましょう。ただし、蚊は小さな隙間からでも侵入できますし、人の後を追いかけて侵入する場合もあります。高層階では蚊は飛んでこないと安心している方も、蚊はエレベーターと共にビルやマンションの高層階にものぼってきますので、油断は禁物です。

蚊を対象とした虫よけ剤を使用するなどして、蚊の侵入を防ぎましょう。設置型の虫よけ剤を屋内に置いたり、吊り下げ型の虫よけ剤を蚊が侵入しやすい玄関先やベランダなどに設置すると効果的です。

冬の蚊対策にも「バルサン!」

蚊は夏の虫というイメージがある方も多いかと思いますが、冬でも蚊の被害に悩まされることもあるのです。対策を怠らないようにしてくださいね。

バルサンでは、蚊の対策に活用できる様々な製品の研究・開発を行ってきました。子どもや乳幼児にも安心して使える成分・イカリジンを配合した虫よけスプレー「スキンバルサン 虫よけミスト」といった虫よけ剤をご用意しています。

冬もしっかりと蚊の対策をして、快適なくらしを守りましょう!

津田良夫(つだよしお)先生

この記事の監修者

津田良夫(つだよしお)先生

昭和29年、東京生まれ。長崎大学熱帯医学研究所、国立感染症研究所で病気を媒介する蚊の生態を研究。農学博士(京都大学)、医学博士(長崎大学)。2015年~2017年日本衛生動物学会・学会長を務める。現在、国立感染症研究所客員研究員、レック(株)技術顧問。著書に「蚊の観察と生態調査」(北隆館、2013年)、「日本産蚊全種検索図鑑」(北隆館、2019年)、「衛生動物の事典」(編著、朝倉書店、2020年)などがある。

レック株式会社

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